JIFやそのパーセンタイルの調べ方
自分や人事採用候補者の論文リストに出版元の「JIF」を添えて提出しなければならない,論文の投稿先に相応しいジャーナルを客観的評価も見ながら探したい…. そんなとき「Journal Citation Reports」や「Web of Science」で書誌情報を調べる方法をご紹介します.
- そもそも「JIF」や「Top 10%ジャーナル」とは?
- ジャーナル名や分野から調べる方法
- 著者や論文から調べる方法
- 自身の研究者プロファイルを整備する方法
- 自身の多くの論文の出版元を一括して調べる方法
- 関連事項
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1. そもそも「JIF」や「Top 10%ジャーナル」とは?
概して:
- 被引用数に基づく評価基準です.
- 国際的なデータベースに採録されているジャーナルが対象です.
- 研究分野による格差に注意が必要です.
- ジャーナルの評価指標として高い知名度と影響力をもっています.
国際的なデータベースの1つがClarivate社の「Web of Science」であり,そのうちの「Core Collection」に採録のジャーナルに対して算出される評価指標の1つが「JIF」すなわち「Journal Impact Factor」です. 「Top 10%ジャーナル」は他のデータベースでも定義できますが,分野によっては,Web of Scienceに基づく意味で使われることが多いようです. それぞれ端的には次のように定義されます:
JIF | あるジャーナルの例えば2023年のJIFは,2021年と2022年にそのジャーナルに掲載された論文総数を分母とし,それらの論文が2023年中に受けた引用総数を分子とする平均値です. |
Top n%ジャーナル | 同じ分野のなかでJIFが上位n%以内のジャーナルです. |
Q1~Q4 | 分野毎の採録ジャーナル全体をJIFのパーセンタイルで約4等分する格付けで,Top 25%ジャーナルがQ1に該当します. |
補足説明を開閉
- 日本語の論文を中心に掲載しているジャーナルは,あまりWeb of Scienceに採録されていません.
- 採録された後で除外されるジャーナルもあります. 故に,後述の方法で検索して基本情報は表示されても,現在のJIFは無い,という場合もあります.
- 例年6~7月頃に前年分のJIFが発表されます.
- 「論文」には,article, review, proceedings paperを含んで,editorialやその他の記事は除外されています.
- 「引用」には自己引用を含む方が標準扱いされていますが,それを除く場合のJIFも算出されています.どのような記事からの引用が計上されるかは,正確には明らかにされていません.
- 「分野」とは250余りの「Web of Science categories」(» リスト)のことです.
- 複数のcategoriesに跨るジャーナルでは,そのcategory毎に,JIFのパーセンタイルが算出されQ1~Q4が定まります.
- 過去最近までは,categoryに加えて「Edition」や「Citation Index」と呼ばれる分類によっても別々に,パーセンタイルが算出されQ1~Q4が定まっていました. その変化についてはこちらの記事をご参照ください.
- 研究者個人や各論文の評価に出版元のJIFが用いられることがありますが,そのように設計された指標ではなく,様々な批判もあります.
こちらもご参照ください:Web of Science公式サイト
2. ジャーナル名や分野から調べる方法
JIFやパーセンタイルを確認
下図の位置にJIFが表示されます.
ページ内の下図のような欄にJIFのパーセンタイル等が表示されます. パーセンタイルがNならば(丸め誤差を除いて)Top (100−N)%ジャーナルであることを意味します.
ページ内に掲載の諸情報のうち例えば「Journal Citation Indicator」は,研究分野による格差のないように考慮された指標です.
分野を選択
目的に合う「Category」を1つ見つけてクリック. 後で複数を選択し直して,該当する全ジャーナルを調べることもできます.
JIFやパーセンタイルを確認
必要なら検索条件や表示項目を再設定することで,該当ジャーナルのJIFやパーセンタイルを一覧できます.
ジャーナル名をクリックして,その詳細情報を見ることもできます.
こちらもご参照ください:Journal Citation Reports公式サイト
3. 著者や論文から調べる方法
Web of Scienceにアクセス
» https://www.webofscience.com/wos/author/author-search学内の回線からなら無料で,サインインしなくても使えます.
著者を選択
所属機関や最近の出版物から目的の著者を見つけて著者名をクリック.
ここに列挙されるのは,基本的には機械的に同定された「著者レコード」であり,しばしば間違いを含んでいます. 本人によって確認された「研究者プロファイル」には,著者名の右に緑色のチェックマークが表示されます.
論文を選択
「ドキュメント」のリストのうち調べたい論文のジャーナル名をクリック.
H-Indexなどの著者の指標もページ内の右側に表示されますが,この「著者レコード」に登録された論文リストに基づいており,そこに過不足がある可能性には注意して下さい.
Web of Scienceにアクセス
» https://www.webofscience.com/wos/woscc/basic-search学内の回線からなら無料で,サインインしなくても使えます.
論文を選択
目的の論文を見つけてジャーナル名をクリック.
JIFや分野内での順位を確認
ポップアップする「ジャーナル情報」欄において,JIFや分野内での順位を確認できます.
こちらもご参照ください:Web of Science公式サイト
4. 自身の研究者プロファイルを整備する方法
これは,Web of Scienceにおける自身の「著者レコード」の過不足を正すことであり,後述する「5. 自身の多くの論文の出版元を一括して調べる方法」の準備にもなります.
Web of Scienceにサインイン
» https://access.clarivate.com/login?app=wos&locale=jaもしJournal Citation ReportsやInCitesなどのClarivate製品で登録済みなら,同じアカウントが使えます. ここではGoogle等のアカウントも利用できますが,もし後で「5. 自身の多くの…」を用いるなら,結局Clarivateのアカウントを作成することになります.
初めてのアクセスなら先ずは「My研究者プロファイル」の確認・編集をお薦めします.
プロファイル設定
表示名や所属機関などを設定して「保存」をクリック.
出版物レコードの確認や除去
登録済みの出版物を確認のうえ,著者になった覚えのないレコードは削除.
出版物レコードの追加
様々な方法で追加できます.
こちらの「著者レコードの修正」欄もご参照ください:Web of Science Help
5. 自身の多くの論文の出版元を一括して調べる方法
〈準備中〉
6. 関連事項
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Journal Citation Indicator
上記の方法でJIFを調べれば同時に「JCI」すなわち「Journal Citation Indicator」も確認できます. JCIもやはり被引用数に基づくジャーナルの評価指標ですが,分野・出版年・文献タイプに対して正規化されており,分野を跨いで比較するような場合にはJIFより適していると考えられます.
- 〈準備中〉